今回のあましんさん
丸尾 功子さん(神戸支店 融資係 2014年入庫)
加藤 佑樹さん(神戸支店 渉外係 2018年入庫)
ぶらり三宮・元町
三宮から元町、北野にかけては、関西でも指折りの観光地のひとつだ。
そんな背景もあるからか、街のことは知ったつもりになっていた。
自分のなかの“神戸”を“更新”してみよう。
イメージの向こうにある神戸の真ん中は、いったいどんな顔を見せてくれるんだろう。
JR・阪急・阪神が乗り入れる三宮一帯には、言わずと知れた繁華街が広がります。
西隣の元町までアーケードが延び、食事も遊びも買い物も自由自在。
山手の北野には異人館街が控えます。
誰もが知るこの街のいまって?
街を愛する人に聞いてきました。
01GROOVY BAKERS
- 神戸市中央区海岸通4-4-3 ワコーレ海岸通I.C 1F
- 078-515-6590
- 10:00~18:00
- 月曜・火曜休
カウンター越しに調理の様子がうかがえる店内は、グルーヴィーそのもの。常時15 種類ほどのラインナップは仕入れ次第で内容が変わり、訪れる人を飽きさせない。
乙仲通に根づいた
自由で気軽な菓子文化
「神戸といえど、焼き菓子に特化した店はありそうでなかった。
パンとケーキの中間のような、使い勝手のいい店を目指してきました」。
そう語るのは、有名パティスリーで20年以上腕を磨いた店主・宮谷彬右さん。いまでは週2、3回顔を出す常連もいるという。
客の8割近くが購入するスコーン210円は、さっくりとした歯触りに続いてバターの豊かな香りがふわり。素朴かつ堅実な味わいは食事にも合うと評判で、なかにはひじきの煮物とのカップリングを楽しむ神戸マダムもいるんだとか。ベテランの技が織りなす包容力に頭が下がる。
02snack 汀 -migiwa-
- 神戸市中央区中山手通1-22-13 1F
- 078-862-3411
- 12:00~23:00(平日)
10:30~23:00(土・日・祝) - 火曜休(不定休あり)
ちょっと一杯から週末のモーニング、イベント参加まで使い方は人それぞれ。水と陸とが交差する場所を意味する店名の通り、多様なライフスタイルが交錯する。
食とアートが高め合う
新感覚のコミュニティベース
たくさんの絵本が並ぶ書棚を背に、カーブを描く階段。
そのかたわらにはワインセラー、そしてカウンターで腕を振るう料理人の姿。昨年11月にオープンした汀は、食とアートが融合する不思議な店だ。「誰にも共通する食を糸口に、子どもも大人も混じり合う。そんな場所をつくりたくて」とは、企画編集者の顔も持つオーナーママの濱部玲美さん。子ども向けのアート教室では、付き添いのお母さん同士がワイングラスを傾けるなど、すでに新しい交流の形が生まれている。年齢や属性を問わない居場所がつむぐ文化のこれから先に注目したい。
03やきにく・肉料理 鶴屋
- 神戸市中央区中山手通1-14-2 マリンビル1F
- 078-321-2919
- 18:00~23:00(22:30LO)
- 日曜・お盆・年末年始休
モットーは「いい素材をいい状態で」。
肉自体は仕入れに左右される部分もあるからこそ、熟練の技で差をつける。東門街に近く、著名人の来店もしばしば。
職人の流儀をぶれずに貫き
食通も納得の卓越した肉料理を
一般的な焼肉店のしつらえとは一線を画す落ち着いた雰囲気の理由は、店主・鶴澤義則さんの経歴を知ると腑に落ちる。和食の世界で10年以上。肉の卸を手がける家に生まれ育ち、かねて知識があったことから独立、鶴屋を開いたのが四半世紀前のことだ。いち押しは、常連の声から生まれたというおまかせ鶴屋7750円。手の込んだ刺身に冷菜、主役の焼肉に至るまで、素材の持ち味が活きた18品が堪能できる。聞けば鶴澤さん、「こだわり」という言葉は好まないそう。職人が職人に求められる「当たり前」を突き詰めた妙味が、ここにある。
04Nick 中山手本店
- 神戸市中央区中山手通3-10-12
- 078-262-1147
- 11:00~19:00(18:30LO)
- 無休
カフェを思わせるしゃれた外観だが、店先の看板には「おいしい精肉店あいてます。」の文字。生産者の思いやストーリーを伝えることも大切にしているという。
精肉とイートインの二刀流で
多彩な肉の楽しみ方を提案
市場には滅多に流通しない和牛・但馬玄(たじまぐろ)や長崎芳寿豚など、厳選された国産肉やその加工品を扱う精肉店。やはりステーキ肉が人気だそうで、店内ではショーケースに並ぶ逸品をその場で楽しめる。取締役の松山裕司さんが「色々なご縁を大事にしながらやってきた」と語る通り、この夏からは知り合いの店から仕入れた旬の野菜も並ぶように。取材中も変化に気づいた高齢のご婦人が足を止めていた。「ここのお肉は本当においしいの!」。開店当初から通う彼女の言葉からは、店がいかに地域に溶け込んでいるかがうかがわれた。
05TIP ZONE EAST
- 神戸市中央区三宮町1-6-23
- 078-331-2505
- 11:00~20:00
- 12月31日、1月1日休
2018年にはオリジナルブランド・
Bobby’sを復刻。80年代、高感度な神戸っ子に愛された定番品に加え、セイルクロスを用いたリュックサックが新しく仲間入りした。
神戸発レザーブランドの
これまでとこれから
「センター街も地元の老舗が減りましたね」。
神戸随一の繁華街を見やりつつ、少し寂しげな顔を浮かべるのはスタッフの寛座栄子さん。キャリア45年以上という店の生き字引の目には、コロナ禍の影響はより鮮明に映し出される。高級ブランドと同等のレザーを使った上質なものづくりが自慢の老舗とて変化を求められる格好だが、明るい話題も。専務でデザイナーの草山徹平さんの息子で、高校3年生の大樹さんが店に立つようになったのだ。「少しでも店のために」と頼もしい若者は大ベテランのもと、どんな成長を見せるだろうか。
06ジェイパール
- 神戸市中央区山本通2-9-10
- 和光ハイマート411 号
- 078-222-2405
異人館が有名な北野は、真珠加工業者の集積でも知られる街。
1960年代以降は本国に真珠や宝石を輸出しようと、多くのインド商人が集住するようになったという。
宿命づけられた真珠商人?
インドルーツの神戸っ子を直撃
大柄な体を揺らして話す口ぶりは、神戸っ子そのものだ。声の主は真珠商・ジェイパールを営む、ザベリ・ジガールさん。インドから来日し、ビジネスを起こした父から事業継承して30年以上になるが、「ザベリ」という苗字自体がグジャラート語で「宝石」を意味するというから、運命めいたものを感じさせる。金やダイヤに比べて価格変動が大きい真珠は、相場の読みが難しいぶん「おもしろい」。コロナ禍で原産地への渡航がかなわず、写真での商品判別を余儀なくされても、鷹揚な姿勢と経験でたった1人のビジネスを前に進めている。
なすべきことにまっすぐ向き合う。
神戸の人たちと話していると、
そんな印象を受けました。
‶進取の気風がある"
‶新しい文化が根づきやすい"
よく語られる街のイメージも、
なんだか納得できる気がしました。