

今回のあましんさん
大久保 玲菜さん(けま支店2021年入庫)
ぶらり園田・食満
けま支店編
その右岸に開けたのが園田であり、
かたや左岸に開けたのが食満の街だ。
川を隔てて隣り合うふたつの街は、
尼崎のなかでは少し控えめな印象かも。
実際のところはどうなのか、訪ね歩いた。
かつての有馬街道が地区を縦断する、
歴史にあふれた園田と食満の街。
普通列車しか停車しない一帯には、
“知る人ぞ知る尼崎“
が見つかりそう。
そんな期待感を胸に秘めながら、
川とともに歩んできた街と街を
行きつ戻りつしてきました。
※掲載している情報は2025年7月現在のものです。営業時間・料金等が変更になる場合があります。

01食満豆腐 おおもと



- 尼崎市食満7-8-3
- 06-6493-7252
- 10:00 ~ 18:30
- 日曜休
「あるわけ」もあって、はるばる遠方から訪ねてくる若い客も多く、大本さんの日々の活力源になっているそう。果たしてその理由とは?ぜひ、自分の目で確かめてみて。
変わらぬ製法を貫く裏には
女性店主の温かい人柄あり
創業から変わらぬロケーションで80年以上の歴史を重ねる。昔ながらの製法でつくられる豆腐は、看板商品である蒸し豆腐・食満とうふ、少し硬めのさがとうふなどが揃っており、かつおぶしがたっぷりかかった土佐揚げも人気を集めている。うまみの秘訣は、厳選された国産大豆と質の高い能登産のにがり。地元を中心に多くのファンを惹きつける背景には、店主の大本好子さんの人懐っこくて快活なキャラクターもありそうだ。なじみの客から一見まで分け隔てなく下町らしいホスピタリティで迎えながら、大本さんは仕事に打ち込む。



02北京料理 龍華


- 尼崎市東園田町2-173
- 06-6494-4744
- 11:30 〜 14:30、17:00 〜 21:00
- 月曜・火曜休
宮崎から就職のために大阪へ出てきたというマスター。定時制高校に通いながらサラリーマン生活を送っていたが、自分の城を持つ方が性に合うと気づき、中華の世界に入った。
園田に根差した味わいを
今後も変わらず守り続ける
園田の街にのれんを上げるようになって45年。北京料理 龍華には親子3代で通う客も目立つ。カウンターの向こうで中華鍋を振るうのは、この道半世紀あまりのキャリアを持つマスター・村川雅信さん。長年連れ添う妻の恭子さんによれば、地元に根づいた味を変えたくない一心で、定休日にも仕込みに精を出しているという。店の自慢は、こぶしほどの大きさと企業秘密の配合が自慢の肉団子の甘酢。「早い、多い、うまい」の三拍子が揃った町中華について、雅信さんは「定年がない以上はやれるところまでやりきりたい」と力強く語ってくれた。


03ingenious creative
kitchen


- 尼崎市久々知1-5-3 ガーデンBOSCO 202
- 06-6439-7353
- 11:00 〜 16:00
(15:00LO) - 18:00 〜 22:00
(21:00LO、火水木) - 18:00 〜 23:00
(22:00LO、金土日) - 月曜休
ここ最近は物販にも注力。なかでも店内で手づくりする人参ドレッシング745円は自然な甘みが特徴で「野菜が苦手な子どもが進んでサラダを食べる」と評判を呼んでいる。
あくなき探究心が生み出す
唯一無二の創作イタリアン
気軽に楽しめる創作イタリアン、通称「インジニ」。「独創的な創作厨房」を意味する店は、イタリアンに軸足を置きつつも和食や中華、フレンチのエッセンスを巧みに、そして柔軟に取り入れる。それも納得、オーナーシェフの恵美酒謙一さんは元バンドマンという経歴の持ち主。20年以上の修行期間を経て「セオリーにとらわれず、自分がいいと思うものを」とクリエイティブな境地に行き着いた。パスタだけでも20種類を数える店は、通えば通うほどに私たちの食に対する固定観念を取り払い、新たな気づきを与えてくれることだろう。



04黒毛和牛専門店
焼肉 まる喜


- 尼崎市東園田町5-98-1
東園田マンション1F - 06-6499-0044
- 17:00 〜 22:30(22:00LO)
- 水曜休
昨年8月のリニューアルに伴い、隣接する場所に個室のみの「ハナレ」をオープン。よりプライベート感のある空間で、選りすぐりの和牛に舌鼓を打てるようになった。
銘柄牛の生肉にこだわった
実直を地で行く和牛専門店
青森から九州まで、独自ルートで29もの銘柄牛を買いつける予約必須店。新鮮で肉のうまみが逃げない生肉だけを扱い、ホルモンに関しては一頭買いをするのがこだわりだ。それが証拠にホルモンは塩で食べてもくせがなく「まる喜でホルモンが好きになった」という客も多数。もちろん、タンやハラミも人気だという。さらにオーナーの母が韓国出身とあって、キムチ盛り合わせ800円をはじめ焼肉に合うオモニの味が楽しめるのもうれしい。過剰な演出抜きに、しっかりと品質の担保された肉を味わえる。あくまでも実直な商売の形が、ここにはある。




05コロンビア珈琲


- 尼崎市小中島3-13-1
- 06-6493-7722
- 9:00 〜 18:00
- 日曜・祝日・年末年始休
プロ野球のシーズンオフには、日本シリーズでMVPを獲得したばかりの阪神の近本光司選手も来店。コーヒー党だという近本選手は、3時間近くコーヒー豆を吟味していったそう。
あの人気選手も訪れた!
生豆がウリのコーヒー専門店
1965年の創業から、喫茶店文化の興隆とともに歩んできたコーヒー専門店。2代目社長の岡﨑広政さんの父は、もともとコーヒーの卸売会社に勤務しており、商圏が広く敬遠されがちだった尼崎エリアにビジネスチャンスを見出し、独立を果たした。10数年前に自家焙煎が気軽にチャレンジできるものになって以降は、生豆の販売を強化。「生豆本舗」のブランド名で、全国各地から注文が舞い込む。ちなみに岡﨑さんは、神戸市内の企業以外では初めて生まれた同業組合の代表という顔も。尼崎の地からコーヒーの正しい楽しみ方を広く発信する。



06ネオマート ヤマカワ


- 尼崎市食満7-24-6
- 06-6491-5518
- 9:00 〜 18:00
- 日曜休
配給制度が敷かれていた戦後間もなく、酒販店としてスタートした店。その名残でいまもアルコール類は扱っており、仕事帰りにふらりとビールを求める勤め人も多いんだとか。
食満っ子がこぞって集まる
地元のサロン的駄菓子店
奥に広い店内には、200種類を超す駄菓子やお菓子がずらり。近隣の小学校の下校時間ともなれば、大勢の子どもたちでにぎわうのがネオマート ヤマカワだ。朗らかな笑顔が親しみやすい印象を与える店長・天満章子さんによれば、来店客の8割を子どもが占めるそう。食満界隈は人と人との距離が近く、学校での出来事を聞いたり、常連のお年寄りの話し相手になったりするのが、何よりの刺激になっている。駄菓子に限らず、アイスクリーム、ドリンク、レトルト食品まで揃う店には、いつも食満ならではの活気と人情味が満ちあふれている。



普通列車しか止まらない。
ちょっと不便かもしれないけれど、
園田と食満の街を歩けば、
懐深い人情と発見がありました。
その魅力がこれからも続くように。
そう願いつつ、街を後にしました。