今回のあましんさん
笹倉 夢花さん(渉外係 2018年入庫)
ぶらり伊丹
JR伊丹駅から西へと延びる酒蔵通りは、
漆喰壁の白と焼杉の茶色のコントラストが
往時の“伊丹郷”の繁栄をしのばせる。
一方で大阪国際空港をも擁する歴史の街は、
どんな顔で私たちを迎えてくれるだろう。
JRと阪急―伊丹の中心市街地は、
2つの“玄関口”の間に広がります。
中世には早くも一帯に城下町が成立。
徳川の治世には当地で醸された酒が、
遠く江戸でも好まれたんだとか。
良質の水と米とに育まれた、
街の現在地にスポットを当てます。
※掲載している情報は2024年10月現在のものです。営業時間・料金等が変更になる場合があります。
01キラキラ★ベーカリー
- 伊丹市千僧3-143
- 072-767-9218
- 7:00~売切次第終了
- 日曜休
店の自慢はクロワッサンをはじめとした、生地にバターを織り込んだ商品だそう。キラキラメロン200円は、何層にも重ねた生地にメロン果汁を練り込んだひと味違う自信作。
キャリア20年超の職人が築いた
ふらりと訪ねたくなるパンの店
通勤通学の「伊丹人」が多く行き交う五合橋線にこの夏、お目見えしたばかり。一流ホテルやベーカリーで20年以上、腕を磨いた藤多亮さんが満を持してオープンさせた店は、親しみやすい店名そのままの明るい雰囲気が目を引き、開店当日には140人もの客を集めた。ショーケースを眺めてみると、この物価高にもかかわらず100円台の商品も。「大人から子どもまで気軽に立ち寄れる店に」と語る藤多さんは、一方でドイツ、スイスなど国により異なるパン文化を紹介したいと将来像を描く。空港のある街だけあって、どことなく合点がいった。
02 PIZZERIA HIRO 伊丹店
- 伊丹市西台5-7-22
- 072-768-9615
- 11:30~14:30(14:00LO)
- 17:30~21:00(20:00LO)
- 月曜・火曜休
生地を伸ばすにあたって「手が商売道具」との語りにも表れているように、ピッツァ職人は体が資本。筋トレやゴルフでリフレッシュを図るのも、鍛錬の一環と見ていいだろう。
カリカリ&ふわふわの幸福感
“世界一”のピッツァを伊丹で
世界各国から腕利きのピッツァ職人ばかりが集う「真のナポリピッツァ2019 オリンピアディ」で、見事世界一に輝いた伊丹が誇る名店。本場顔負けの味わいの秘訣は、ずばり生地づくりにあるとシェフの西本裕樹さんは言い切る。イタリアから取り寄せた小麦粉と塩、店で手づくりしている天然酵母を使い、薪窯で焼き上げられるピッツァはカリカリとふわふわ、それぞれの食感が渾然一体に。「生地のお世話をする感覚です。ちゃんとしたナポリピッツァを世に広められたら」。職人の言葉には、ある種の達観が見て取れるかのようだった。
03DOS BODEGAS
- 伊丹市伊丹2-3-20
- 072-767-6282
- 11:30~24:00(23:00LO)
- 月曜・火曜休
学生時代からバックパッカーとして5大陸を渡り歩いた経験を持つ永峰さん。最初に覚えたスペイン語は、投宿先での「水が出ません!」だったと笑わせてくれた。
バックパッカーの到達地点は
“日本酒の街×スペインワイン”
日本酒の街・伊丹にありながら、値頃感に優れたスペインワインの魅力を伝えるのが、酒蔵通りに店を構えるDOS BODEGASだ。代表取締役の永峰達也さんは、現地のワイナリーに体当たりを重ねて独自に仕入れルートを開拓した「行動派」。試飲して納得したものしか置かない「徹底派」でもあり、パエジャ、ピンチョスといったスペイン料理も、本場さながらのスタイルで提供する。「ワインは日本酒と同じ醸造酒。うまく共存関係ができれば」と、永峰さん。日本ではまだなじみの薄いスペインワインの可能性を、誰よりも信じている。
04焼肉ホルモン髙木
- 伊丹市中央4-1-17
- 072-714-2466
- 17:00~23:00(22:30LO)
- 月曜休(祝日の場合は火曜休)
この4月には、目と鼻の先に焼肉ホルモン髙木HANAREをオープン。大きなテーブル席とボックス席を備える2号店は、宴会などより大人数のニーズに応えている。
店主が念願をかなえた店で
カジュアルに但馬牛を楽しむ!
大学時代のアルバイト経験以来、焼肉店の経営が夢だったという髙木崇司さんが営む但馬牛がウリの店。高級和牛の代名詞を「カジュアル焼肉」の名で手軽な価格で提供する。オレイン酸が豊富で脂が溶けやすく、胃もたれしづらい肉質を引き立たせるのは、果物をふんだんに用いた自家製の無添加だれ。自らもお酒好きだという髙木さんらしく、契約農家から仕入れた野菜などを使った酒のアテも充実しており、客を飽きさせない。席数にして28席という空間は、妥協のない味でゲストをもてなしたいがゆえ。予約推奨の店の主は、今日も研究を重ねている。
05CAFÉ MARTIN
- 伊丹市中央5-3-1
- 11:00〜18:00
- (フード17:00LO、ドリンク17:30LO)
- 火曜・水曜休
もとは阪急伊丹駅でpâtisserie usaguiを経営していた村西さん。CAFÉ MARTINの開業に伴い、厳選された調味料なども扱うepicerie usaguiに衣替えした。こちらも要注目だ。
フランス帰りの職人のもてなしが
商店街の一画をパリさながらに
ドアを開けば、英仏から取り寄せたインテリアを温かみある電球色が照らし出す。できたてのフランス菓子が楽しめるCAFÉ MARTINは、昔ながらの商店街にいることを忘れさせてくれる店だ。7年におよぶフランス在住歴を持つパティシエール・村西理沙さんは「おいしいものしか食べたくない」という、自他ともに認める食いしん坊。ナッツのペースト、サンドイッチに用いるハムは自家製で、余計なものは何も加えない。とはいえ「コーヒー1杯からでも」と、村西さん。現地を知る人がそこにいるがゆえ、可能になる追体験をどうぞ。
清酒発祥の地との説もある伊丹。
きりりと澄んだ酒と同じように、
街を盛り上げようと動く人の目も
清い志にあふれていました。
一見すると地続きには思えずとも、
土地が醸したDNAは確かに息づく。
そう教えてもらえる散策でした。