今回のあましんさん
保坂 誠さん(渉外係 2018年入庫)
ぶらり池田
安藤百福による世紀の発明の原点として。
私たちが池田という街を語るとき、
そこには名だたる偉人の名前が登場する。
北摂のベッドタウンとあなどるなかれ、
そこに輝く現代の“偉人”を訪ね歩いた。
上方落語に登場するのは
イノシシでも、
街なかで目がいくのはウォンバット。
そんなゆるさが愛おしい池田の街。
とはいえ、それだけではありません。
応神天皇の昔から
戦後復興に至るまで。
大阪の歴史に深く関わってきた地には、たくさんの楽しみ方がありました。
※掲載している情報は2023年11月現在のものです。営業時間・料金等が変更になる場合があります。
01MOBILE GRANDE
モビリグランデ
- 池田市満寿美町11-20
- 072-751-4701
- 10:00〜18:30
- 火曜・第3水曜休
2022年11月からは、生活スタイルをさらに充実させようとフィットネスジムを併設。ほどよい距離感のパーソナル指導が人気を呼ぶ。
一点モノの生活を提案するのは
かつての「街の家具屋さん」
瀟洒な外観からは想像もつかないが、その原点は正真正銘の「街の家具屋さん」だ。自社デザインの家具や輸入雑貨を販売するMOBILE GRANDEが、前身の藤尾家具店から装いを変えたのは大型量販店が台頭した90年代終盤。量産品からは手を引き、ここでしか出会えない上質なオリジナル製品を扱うようになった。代表の藤尾光さんいわく、店の信条は「空気感を売る」こと。安い買い物とはいかないが、細やかなカウンセリングを経て一点モノの生活空間を演出してくれるパートナーの評判は、池田の街を飛び越えて全国に届いている。
02落語みゅーじあむ
(池田市立上方落語資料展示館)
- 池田市栄本町7-3
- 072-753-4440
- 11:00〜19:00
- 火曜・年末年始休
- (イベント時には入館制限の場合あり)
- 入館無料(落語会は木戸銭が必要)
「素人名人」を目指す講座の指導方針は「とにかく笑わせてなんぼ」とプロデューサーの浦田康子さん。その一方で毎月第2土曜日にはプロの噺家による寄席も開催している。
上方芸能の粋を気軽に楽しめる
“アマチュア落語家の殿堂”
古典落語「池田の猪買い」「池田の牛ほめ」の舞台として名高い街に開館して15年あまり。3000点超の映像資料や書籍を有し、落語ファンのみならず初心者にも広く門戸を開いてきた。社会人落語日本一決定戦の会場であることからも明らかなように、アマチュアの育成拠点としての顔も。この日、大人顔負けの「道具屋」を聞かせてくれた小学生落語家・薫風亭文鳥くんも、当館の講座で腕を磨いてきた一人で「思いついたときに来られる気軽さが魅力」と語る。池田の街の散策がてら足を運んで、上方が培ってきた文化の豊かさに触れてみては。
03酒処 備前屋
- 池田市菅原町3-1-110 ステーションNビル 1F
- 072-751-3327
- 16:00〜21:30(最終入店20:50)
- 土日祝休
なんと午前10時から仕込むという四季折々のアテも店の自慢。豪快なまでに鎮座する薬味と辛子で味わう名物の冷奴は地元・川崎豆腐店のもので、濃厚な大豆の風味が格別だ。
地元が誇る銘酒と季節のアテで
池田の夜をゆるりと過ごす
池田で仕事を終えた夕刻、帰路を急ぐ道すがら紫紺に染め抜かれたのれんに誘われる―駅前の商業ビルが開業した当初から続く酒処 備前屋は、そうして多くの左党を惹きつけてきたはずだ。徒歩にして約10分の距離で醸される呉春が主役を張るのはもちろん、ハイボールはダブルでの提供が基本。店長の新見奈穂さんも無類のお酒好きで、自ら試飲して納得した銘柄しか置かないというから心強い。30名近くが肩を並べられる店内には、男性だけでなく女性の姿も目立つ。それもカウンターの向こうからの目配り、気配りあってのことだろう。
04銘菓創庵 福助堂
- 池田市建石町3-2
- 072-751-4252
- 9:00〜18:30
- 不定休(原則月曜休)
関西で初めていちご大福を販売した過去にも象徴されるように、現在も週に1品は新作を発表。伝統と創造の両立を可能にするのは、近隣で開かれる茶会との密な結びつきだ。
あの小林一三も足繁く通った
能勢街道沿いの歴史の証人
天保年間に能勢街道沿いの茶屋として創業した、池田最古の和菓子店。阪急電鉄の創業者で、店の目と鼻の先に居を構えた小林一三との縁でも知られ、多いときには週1〜2回の頻度で顔を出していたという。池田の歴史を見つめてきた店だけあり、5代目店主の樋口芳宏さんの博覧強記ぶりには舌を巻くばかり。かつて大坂のまちと能勢方面を結ぶ物流の要衝としてにぎわった過去、同地のがんがら火祭りと京都の大文字焼きとの関係性など、言葉を交わすほどに池田への愛着が伝わる。次代を担う息子の慎也さんにも、そのDNAは着実に受け継がれていくだろう。
05御菓子司 香月
- 池田市室町1-9
- 072-751-3675
- 9:00〜19:00
- 火曜休
ウォンバット商品各種のほか、ご当地のチキンラーメンを使った和洋折衷のチキチキパイ各170円にも目がいくが、国産原料のみ、無添加という芯がぶれることはない。
池田の玄関口で愛され続ける
ほっこりさせる和菓子店
阪急池田駅からすぐ、昭和初頭から続く和菓子店のこだわりは口に含めばほっとできる、そんな菓子づくりだ。伝統的な上生菓子に加え、ご当地のおりひめ伝説や近くを流れる猪名川を題材に取った創作菓子も取り揃えるが、余計なものを加えない素朴で洗練された製法は決して揺らがない。四季折々、多種多彩な菓子を手がけるのはこの道約半世紀の3代目、山脇裕彦さん。「先代の『商売は牛のよだれに似て、焦らずやるのが一番』という教えを守って、ここまで来ました」という穏やかな語り口に、長く愛される秘訣を感じた。
06NESiA
- 池田市神田2-6-18
- 072-735-7367
- 12:00〜20:00
- 木曜休
曽我さんの開発した飼料で育ったクワガタムシが、レコード記録(ギネス)に掲載される大きさにまで育った例も。評判を聞きつけたメディアへの出演や映画製作への協力も惜しまない。
純粋な少年の心が形になった
国内でも稀有なクワガタ専門店
国内種に外来種、幼虫から成虫まで―池田ICのほど近くに位置するクワガタムシ、カブトムシの専門店・NESiAは界隈では全国的に知られた存在だ。幼少期以来、この世界にどっぷりだという代表の曽我忠さんは、大手電機メーカーを脱サラした経歴の持ち主。趣味が高じて、さまざまなきのこの菌糸を配合した飼料を独学で研究開発、より大型の個体が育つ商品として事業化に成功した。とはいえ、大きな成虫で人を喜ばせたいという素朴な気持ちは変わらない。少年時代に抱いたワクワクを広めようと、今日も明るく愛好家たちと向き合う。
伝統は重んじつつ、新たな形へ。
池田の街から感じられたのは、
人々の確かな活力でした。
点と点を結んで面にすることで、
その魅力はさらに深まる。
気軽に歩けるエリアだからこそ、
一度じっくり楽しんでみては?