HOME街の社長夢を語る温故知新で腐食を防ぐ、環境調和型の防錆処理材
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夢を語る

HEART INTERVIEW
アロウィング株式会社の社長

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温故知新で腐食を
防ぐ、環境調和型の
防錆処理材

アロウィング株式会社

代表取締役社長 尾﨑 章夫 氏

あましん グリーンプレミアム〈第12回 最優秀賞〉

古来、培われてきた技が現代の防錆処理を変える

錆をもって錆を制す——我が国に伝わる防錆技術は、こんなふうに言い表せよう。普段、何気なく見かける赤錆が腐食を引き起こし、鉄の表面を剥落させるのは周知の通り。かたや柿渋の塗布や日本茶での煮沸などにより、人為的に発生させる黒錆には赤錆の抑制効果があり、社寺建築の金物や甲冑の鉄部の耐久性を高める目的で用いられてきた。

古来の知恵を「現代版」にアップデートしたのが、アロウィングが2015年に発売した黒錆転換防錆処理材・Fe Black。建築物や橋梁、鉄道施設などの構造部に活用されており、鋼材の表面に黒錆層を形成させることで防食性能を高め、長寿命化を実現する。予防的な処置はもちろん、すでに発生した赤錆をも黒錆に変えるのが特徴だ。

その効果は防錆だけにとどまらない。「鉄の生産時には大量の二酸化炭素や廃水が生じる。防錆処理で建て替えや交換のスパンが延伸できれば、おのずとそれらは削減できるんです」。そう語る尾﨑章夫社長は、開発段階から防錆材それ自体の環境負荷にも問題意識を持っていた。従来品は発がん性物質が含まれるなど、危険物である場合がほとんど。タンニン(柿渋など)、亜リン酸(肥料など)、低級アルコール(焼酎など)の天然由来からなる水溶液は、業界で半ば見過ごされてきた課題を見事に克服してみせた。

“後味”を残す姿勢を貫き次なる環境技術開発へ

意外なことに、尾﨑社長はアパレル業界出身。独立してブティックを営んでいたところ、前職の先輩から環境問題を扱う絵本を紹介されたことを機に2006年、まったく畑違いの事業を興すに至った。光触媒に水質改善といった数々の環境ビジネスを手がけてきたが、錆に着目したきっかけは自らも被災した阪神・淡路大震災だ。「震災では多くの建物が倒壊しましたが、のちに鉄筋や鉄骨の錆が主因とわかった。そこから開発に入りました」。

関心事をとことん突き詰める性分はサラリーマン時代、経営者から「後味のある営業になれ」と説かれたことによる。つまりは「この人と話せてよかった」と思われるよう種々の知識を蓄える習慣があり、それがアイデアの源泉をなしているのだ。「これからが人生の仕上げ期間。Fe Blackに満足せず、新たな可能性を探りたい」と、67歳は意欲十分。その口ぶりは、確かな後味を残した。

企業情報

アロウィング株式会社の社長

アロウィング株式会社

2006年(平成18)の創業以来、開発を主導するパートナー企業との協業で、多角的な環境ビジネスを展開。特許取得のFe Black以外にも、光触媒を用いた衛生加工をはじめとしたさまざまな商材を世に送り出している。

兵庫県西宮市南郷町6-16
URL https://www.arrowing.jp

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