HOME街の社長夢を語る技術力が“可視化”した水質調査の本質とは
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HEART INTERVIEW
環境システム株式会社 代表取締役 鮎川 和泰 氏

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技術力が“可視化”した
水質調査の本質とは

環境システム株式会社

代表取締役 鮎川 和泰 氏

あましん グリーンプレミアム〈第10回 最優秀賞〉

形式的な調査への疑問が水質を見通す"目"を生む

「研究といえばかっこいいですけど、半ば趣味に近くて」。水質計測機器の研究開発を手がける環境システムの鮎川和泰氏は笑う。2008年、同社が開発に成功した水質計自動昇降装置は業界の常識を一変させた。ダムや河川といった公共用水域はかねて公的調査の対象だったが、長らくデータ収集自体が目的化し分析や活用は二の次だったという。結果、藻の大量発生や赤潮などの水質汚染が起きても対応は場当たり的に。ここに問題意識を抱いた。「たとえば赤潮を生じさせる植物プランクトンは、どんな環境で活性化するのか。調査の蓄積で傾向を割り出し、先手の対策につなげたいなと」。
自動昇降装置はケーブルの先端に取り付けたセンサーを水中で上下させて水温、濁度、プランクトン濃度などを計測するが、従来品は大型で大量の電力を消費するため、メートル刻みのデータしか得られなかった。ミクロの世界に暮らすプランクトンからすれば、1メートルの深さの違いは「北海道と沖縄くらい」の環境差を生む。つまり、往年の調査手法では正しい水質の把握はできず、種々の問題にも先手の打ちようがなかったのだ。そこで鮎川氏は小型化と省エネ化を徹底し、1センチ単位で計測が可能なシステムを構築。水面下で起きる変化を可視化してみせた。

実効性を帯びたデータが水環境改善の切り札に

革新的な技術も、ただ形にして終わりではない。製品に説得力を持たせるには、信用に足るデータの積み重ねが不可欠だった。象徴的なのが、大分県のマグロ養殖場での事例だ。収益性が高い一方、赤潮のたびに大損害を被ってきた養殖現場で、プランクトンが増加する環境条件を客観的かつ詳細なデータから解明した。プランクトンの多い水深を避けていけすを上下させる、赤潮の発生が予想されれば出荷調整をするといった、効果的な対策も示した。汎用化には10年の歳月を要したが、こうした地道な取り組みこそが今日の揺るぎない信頼の源泉なのだ。
かつて公害の街と呼ばれた故郷・尼崎でのビジネスに、大きな充実感を覚えるという鮎川氏。尼崎運河での環境学習にも関わっているように、次なる夢は後進の育成だ。水と向き合う仕事の魅力を可視化する―研究者肌の経営者の目は、まだまだ先を見据えている。

企業情報

環境システム株式会社

環境システム株式会社

1998年(平成10)創業。水質計の筐体製作からプログラミングまでを一挙にこなすベンチャー企業。水質検査のサブスクリプション、計測プログラムのオープンソース化をはじめ、近年はモノからコトへのサービス展開を進めている。

兵庫県尼崎市道意町7-1-3 尼崎リサーチ・インキュベーションセンター 512号室
URL http://www.hydrolab.co.jp

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