HOME街の社長夢を語る圧力計業界の韋駄天、ローカルを“掘り興す”
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HEART INTERVIEW
圧力計業界の韋駄天、ローカルを“掘り興す”

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圧力計業界の韋駄天、
ローカルを“掘り興す”

株式会社第一計器製作所

取締役営業部長 黒田 英登 氏

あましん サクセスネットクラブ 幹事

人の手を惜しまぬ姿勢が業界屈指の短納期を実現

スピードと対応力。70年近い歴史が育んだ圧力計メーカーとしての優位性を、黒田英登部長は明快な言葉で語ってくれた。

圧倒的な短納期を実現する秘訣は、きめ細かな営業力だ。「全社員約60名のうち10数名が営業で、同規模の競合と比べて3倍近い割合です。だから、急な交換対応にもすぐ飛んでいける。僕らは『業界一のクイックサプライヤー』だと自負していますが、その意識が社員にも浸透していますね」。大手でも1ヵ月はかかる製品を、わずか3日で納品するほどの驚くべきスピードの源泉は、顧客接点における「瞬発力」にあるわけだ。

かたや対応力を形作るのは製造現場。あえてラインは敷かず、人の手にすべてを委ねることで、突然の計画変更にも即応できる。設置環境により仕様が細分化する製品特性を考えても、大量生産とは無縁の同社の体制は極めて理にかなっているのだ。加えて近年、多能工の育成を推し進めたことも、コロナ禍という非常事態において威力を発揮したという。

ていねいな手仕事を経て完成を見た製品は、食品、飲料、薬品などの工場、さらには水処理に代表される大型プラントへ。知らないけれど欠かせない―そんな現場で、第一計器ブランドは操業の安定性を支えている。

尼崎の会社だからできる 成長のあり方をこの先も

第一計器製作所が大物を拠点に選んだのは、尼崎港へのアクセスのよさゆえ。海運業の活況を見た現会長・黒田三郎氏が、寄港中の船舶向けに圧力計修理事業を興したのが始まりである。作業は迫る出航時刻との戦いで、船に泊り込むのもざら。スピードと対応力という武器は当時から不変だったのだ。祖業の名残は、ロゴマークの舵の意匠が伝える。

尼崎の工業化と軌を一に成長してきただけに、黒田部長の地元への思いも強い。あましんサクセスネットクラブでは、業界を問わず経営者と協力関係を築いてきた。「圧力計つきのタンクがほしい、そんな相談も必ずどこかにつなげられる。ものづくりの街らしいですよね」。

一方では従来通り、尼崎での雇用創出にも貢献したいと黒田部長。会長、社長である父とも元気で「なかなかトップが見えない」と笑うが、両者の背中に学ぶ3代目は「ハイブリッド経営者」への道を着々と歩んでいる。

企業情報

株式会社第一計器製作所 あましん サクセスネットクラブ

株式会社第一計器製作所

昭和28年(1953)創業の圧力計メーカー。豊富なラインナップを活かした小ロット生産が得意だが、とりわけ隔膜式圧力計に強く、食品製造や水処理といった領域で活用。近年は商社機能の充実にも注力する。

兵庫県尼崎市大物町1-7-2
URL http://www.daiichikeiki.co.jp

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