街の社長
夢を語る
HEART INTERVIEW

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ひらめきから生まれる
新時代の発電システム
Yellow Duck株式会社
代表取締役 中山 繁生 氏
あましん グリーンプレミアム〈第15回 最優秀賞〉
本当の意味で自然に優しい発電のあり方を追求
太陽光発電、風力発電は頻繁に耳にしても、波力発電という言葉はまださほど世に知られていないのではなかろうか。新たな再生可能エネルギーの開発に取り組むのは、設立間もないスタートアップ企業Yellow Duck。50年以上前から研究が進められるも、なかなか実用化に至らなかった波力発電を、独自の浮体式波力発電システムを通じて実現しようとしている。海洋国家である日本にとって、これを活かさない手はない。また、同社のシステムは海底への設置が不要な浮体式で、水深の深いところにも設置できる利点がある。
経営者である中山繁生氏は行政書士という肩書きの持ち主。文系肌ながら東日本大震災以降、各地の山肌を削ってメガソーラーが設置される様子が不自然に映ったという。「山から木がなくなり、土砂崩れが起こる様子を見てこれでいいのかと感じました」。課題感を抱いた中山社長の行動は早く、電力開発の最先端をネットで独学。ある日、芦屋浜を愛犬と散歩中、波打ち際を行き来するペットボトルに、発電に必要なタービンの動力源を見出した。自ら製作したプロトタイプは、100円ショップの浮き輪と植木の支柱、洗面器を使った簡素なもの。それでも水面に浮かせてみると、波の力だけで機器内に振動が起こることが証明された。
シンプルだからこそ扱いやすい装置を未来へと
次なる課題は、社会実装に向けたエンジニアの発掘だった。従来の洋上発電は風車によるものが当たり前。前例のない浮体式の装置開発に二の足を踏む人が大半だったが、中山社長は粘り強い交渉の末に信頼できる人材と巡り会った。会社設立後は、ひたすら実使用に耐えうる装置の製作に邁進。高さ約2メートルの球体の内部にある滑車を、水中抵抗と浮力が反発し合う力を利用することで動かし、電力を生む試験機のブラッシュアップを重ねている。ここで大切になるのが「シンプルなアイデアで、世界をやさしく」という理念だ。余計な部品を削ぎ落とせば、それだけ原価も下がり、故障のリスクも減る。つまりはより社会に組み込みやすいシステムの構築につながる。開発の現状について中山社長は「5段階中の1」と謙遜するが、すでに商社や電力事業者からの期待度も高い。素朴なアイデアが未来を変える日は、そう遠くなさそうだ。
企業情報

Yellow Duck株式会社
2023年に設立された再生可能エネルギーのスタートアップ。洋上発電設備を中心に新たなエネルギー技術の研究開発を展開する。コーポレートカラーのイエローは海上での視認性の高い安全色で、安心を届けたいという思いがこめられる。
神戸市北区上津台6 -3 -28
URL https://yellow-duck.jp

