街の社長
夢を語る
HEART INTERVIEW

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石膏が秘めた可能性を
新たな事業につなげる
株式会社マルエイ
代表取締役 堤 英次 氏
あましん グリーンプレミアム〈第14回 環境アイデア部門賞〉
廃棄に回す素材に見つけた 時代に即した新事業
創業以来、北摂地域を中心に残土処理の分野で業をなしてきた会社が、新たに活路を見出したのは石膏ボードのリサイクルだ。大阪国際空港の近くに事業所を構えるマルエイ。2006年の設立から、母体である堤管工の道路管工事現場から発生する残土の受け入れを手がけてきた。そんなマルエイが石膏ボードを石膏粉に蘇らせる事業に着手したのは、コロナ禍直前の2019年。代表取締役の堤英次氏が土木業界の専門誌に当たっていたところ、石膏ボードを石膏と紙に分離し、残土再生や地盤改良に用いる石膏粉を取り出す技術を知ったことがきっかけだ。
従来、石膏ボードは産業廃棄物として処理されることの多かった素材。主な排出元である建物の解体現場からは「取り扱いに困る」との声も漏れ伝わっていた。なかには廃棄物としての分類が面倒だからという理由で、埋め立てに回される例も少なくなかった。こうした現状に問題意識を覚えた堤社長は、SDGsが叫ばれる世の中に求められている技術だと確信。まったくの新規ビジネスに飛び込む決意を下した形だ。構想段階を経て、事業再構築補助金などの支援も受けながら破砕機と分別機を導入し、本格的にリサイクルに乗り出したのが2022年のこと。石膏の専門商社と手を結んで、石膏粉の販売を開始した。
石膏の特性を存分に 活かした素材で一歩先へと
石膏ボードのリサイクルを担う会社は、全国にも数えるほどしかないという。ただでさえ希少価値の高い領域をカバーするマルエイだが、すでに技術面において他社をリードする存在になっている。その秘訣は堤社長自身が各地の破砕機メーカーを見て回り、納得のいくリサイクルラインを導入したことにほかならない。一般的な破砕機は、石膏ボードを石膏、紙、そして残りかすに分離する。この残りかすが石膏粉の純度を下げ、製品価値を落とす原因になるのだ。その点、マルエイが取り入れたラインは、残りかすをほぼ完全に分離するもの。石膏の化学的な特質を存分に引き出せる石膏粉の生産が可能になった。現在は土木、建築といった分野が主な出荷先となっているが「条件が整えば、肥料への活用など農業関連にも進出できれば」とビジョンを描く堤社長。アンテナを高く掲げる経営者の眼差しは、常に一歩先を見据えている。
企業情報

株式会社マルエイ
2006年に設立された残土処理事業者。残土リサイクル、廃棄物処理などを基軸にビジネスを展開し、現在に至る。新規事業である石膏ボードのリサイクルは、すでに売上全体の3割を占めるほどに。社内外からさらなる成長が期待される。
豊中市勝部3-1-30
URL https://sekkouboard.com

