街の社長
夢を語る
HEART INTERVIEW

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“感じる”技術を駆使し
環境に変革をもたらす
ホルトプラン合同会社
代表社員・社長 林 泰正 氏
あましん グリーンプレミアム〈第14回 環境事業部門賞〉
“農の可視化”から始まった 環境ソリューション
めざすは、センシング技術で持続可能な明るい未来社会を形づくることだ。農業分野では脱炭素化の推進、建築分野では快適性の向上に寄与すべく、研究開発を進めるのはホルトプラン合同会社。社長の林泰正氏は、スマート農業が叫ばれる以前の学生時代から農業とコンピュータを結びつける研究に徹してきた、根っからのエンジニアである。メーカー勤務、いくつかのスタートアップ経験を経て2015年に同社を設立した林社長は、室内の気流を測定するセンサを世に送り出す。湿度が高く粉塵も多い過酷な環境下において、タフに動作する気流センサは過去に類例を見ないもので、温室内が植物の生育に適した状態になっているかを把握するのに威力を発揮した。
創業から10年の歳月が流れ、脱炭素化やゼロエネルギー化が求められるようになると、会社に求められるものも徐々に変化する。「冬の温室で石油を燃やしてトマトを栽培すると、同じ質量の二酸化炭素が発生する。この状況を変えたいんです」と林社長。環境省事業 で研究機関等との協業から生み出された「新しい温室」は、遮熱性の高いフィルム資材、省エネ効果が期待できるヒートポンプなどで構成。そこに性能に優れたセンサのコントロールが加わることで、二酸化炭素の排出量を約5割削減することに成功している。
人が集う場所を より過ごしやすく、よりエコに
「Horticulture」(園芸)と「Plan」(計画)を掛け合わせた造語を社名とする同社だが、時代の要請に沿ってその技術は住宅やビルといった居住空間に応用されるようにもなった。快適性センサの開発がその代表格である。快適性センサとは、人が過ごしやすいと感じられるよう空調を管理するもので、たとえば部屋を冷やすより風の量を増やした方が効果的と判断できる場合は、自動的に送風を強めるといった管理も実現できる。さらに15〜40%程度の省エネ化が実現できるとあって、国内の大手企業のオフィスや生産拠点への導入も進む。
「誰もやりたがらないことに挑戦すると燃えるんです。いずれは人が意識せずとも過ごしやすく、それでいて環境負荷の少ない社会の実現に貢献したいですね」。ホルトプランのチャレンジの先に描かれる未来像は、我々が想像する以上に希望に満ちたものかもしれない。
企業情報

ホルトプラン合同会社
2015年設立の電子機器の開発・製造メーカー。センサ、ICT、IoTといったテクノロジーに裏打ちされた環境制御システムの構築に長じ、効率的な温室栽培や建築物の省エネルギー化に資することで、環境・食糧問題に向き合っている。
大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビル ITM棟12F
URL http://www.hortplan.co.jp