HOME街の社長夢を語る里山を生まれ変わらせた“水車新田モデル”
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HEART INTERVIEW
NPO法人 PVネット兵庫グローバルサービス 理事長 北方 龍一氏  株式会社みつば電気 代表取締役 岡本 光代氏

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里山を生まれ変わら
せた“水車新田モデル”

NPO法人 PVネット兵庫グローバルサービス
株式会社みつば電気

理事長 北方 龍一 氏

代表取締役 岡本 光代  氏

あましん グリーンプレミアム〈第13回 環境活動部門賞〉

先人の水利用を範にした クリーンエネルギー

水車新田という地名が、かつての水資源利用のあり方をしのばせる。神戸市灘区の六甲川沿い。神戸大学にほど近いこの地に、六甲山系の急斜面を活用した小水力発電所が誕生したのは2021年のことだ。取り組みを主導したのは、クリーンエネルギーの普及活動を展開するPVネット兵庫グローバルサービス。同地に生まれ育った北方龍一理事長は、幼少期に六甲川で川遊びをしたこともあるといい、江戸時代に25基もの水車が搾油や製粉に使われていたことも聞いていた。
先人の知恵を新たな形で復活させる後押しになったのが、国による水資源の積極活用方針。権利関係が複雑な都市近郊における用地確保は困難を極めたが、およそ5年の歳月をかけて実用化にこぎ着けた。
急峻な地形への設備施工については、尼崎に本社を置く電気工事業者・みつば電気が強力なパートナーとなった。
基礎工事、配管はもとより、水車・発電機や制御盤の設置までをワンストップで対応。特筆すべきは同社が得意とする遠隔監視システムの応用で、水量が不足するときは発電を停止したり、枯葉などの堆積物を水の逆噴射で除去したりといった操作を自動制御するプログラムを完成させた。稼働開始からの2年間における発電量は約10万kWh。同時に約35トンものCO2排出削減を達成している。

電力のみにとどまらない 複合的なメリットも

小水力発電所で発電された電気は、コープこうべが全量買取。エネルギーの地産地消、送電ロスの削減が実現されたが、里山保全という副産物も見逃せない。みつば電気の岡本光代社長によると「薮だらけで道もなかった」という山林は、いまや間伐や植樹を通して新陳代謝しつつあり、古木は薪や木材チップに姿を変えて利用される。また、発電所一帯は自然学習の場としても機能するようになり、子どもから大人までが集う。都市部における小水力発電というチャレンジは環境整備のみならず、DXや教育とも結びついた。「水車新田モデル」のさらなる水平展開が期待される。

企業情報

NPO法人 PVネット兵庫グローバルサービス 株式会社みつば電気

NPO法人 PVネット兵庫グローバルサービス
株式会社みつば電気

2013年設立。太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの普及活動を通して、地球温暖化の防止やエネルギー不足問題の解決を目指す。定期的な交流会では、各種機器の設置や維持・管理について情報を提供し、裾野の拡大を図っている。

1954年(昭和29)創業。「機械に命をふきこむエンジニア集団」を謳い、制御盤の設計・製作、一般電気工事、プラント施工まで幅広い事業を行う。電力需要が逼迫する時代を迎え、低炭素社会の実現に向けた技術革新にも果敢に取り組む。

NPO法人 PVネット兵庫グローバルサービス
神戸市灘区篠原北町3-9-3
URL http://pvnethyogo.g2.xrea.com/

株式会社みつば電気
尼崎市西難波町3-17-13
URL https://www.mitsubadenki.co.jp/

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