街の社長
夢を語る
HEART INTERVIEW
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配管から
“ワクワク”をつなぐ
業界の異端児
株式会社東洋工作所
代表取締役 岩田 光正 氏
あましん サクセスネットクラブ会員
整理整頓と付加価値で独自の地位を確立
「仕事は本来、おもしろいものではないんです」。そう語ってはばからないのは、多種多様なプラントの配管工事を手がける東洋工作所の岩田光正社長だ。化学プラント、発電所、製鉄所に至るまで守備範囲は広く、その事業の持つ社会的意義は当然大きい。やりがいある仕事であることに疑いはないが、岩田社長の本懐は自社を社員の自己実現、幸福追求の場にすることにある。だからこそ、求めるものは小さくない。品質担保、納期厳守は大前提。そこに付加価値をもたらし差別化を図るのが、東洋工作所のスタンスだ。働く環境も、職人がワクワク仕事できるようひと工夫。現場事務所には花を飾り、昼食用のカップ麺はコンビニ顔負けに陳列して、その様子を社内で共有すると同時にSNSで発信する。堅実な仕事ぶりに、他社が思いつかないような「魅せる」アイデアを盛り込み、確かな存在感を放っているのである。とはいえ、プラスアルファばかり追求しているわけでもない。業務の根幹にあるのは整理整頓の徹底だ。「いわゆる3Kでも『汚い』の改善は容易です。現場が整えば、道具や材料を探す手間も省ける。次に作業する人への思いやりが、生産効率を向上させるんです」。きちんと整った現場は、顧客にしても安心材料。地道な取り組みの成果は業績にも表れている。
配管の可視化を通して働く仲間にも充実感を
一方で配管工事は、一般の人からすればなかなか想像がつきにくいという課題を抱える。競合は大阪だけでも1400社を数えるが、その仕事に焦点が当たる機会は決して多くない。こうした現状を憂い、配管とそれに伴う技術を可視化すべく、2年ほど前に着手した新事業がアイアン家具の製作だ。テーブルに椅子、棚、小物などに職人が長らく培ってきた溶接、曲げ加工の技術を応用。単なる配管工事の枠を飛び出し、業界をわかりやすく変えてみせようというのだ。言い換えるならば、その狙いはずばり技それ自体の商品化ともいえよう。社員の創造性や自己肯定感が高まるのも想像に難くない。
配管という営為は、何もパイプとパイプとをつなげることのみにとどまらない。東洋工作所は、まさにそのことを体現する会社だ。岩田社長自身が大切にする「やってみよう」の精神は、どんな新展開につながるだろうか。
企業情報
株式会社東洋工作所
1999年(平成11)創業。プラント配管のほか、製缶、アイアン家具製作といった事業を通して「大志」と定める「パイプでワクワクをつなぎ、未来をソウゾウする」を体現する。大型顧客に日立造船、近畿車輛など。
摂津市鳥飼銘木町11-8
URL https://www.touyoukss.com/