街の社長
夢を語る
HEART INTERVIEW
17
あんこが持つ
ポテンシャルの
さらなる深化へ
株式会社サザエ食品
代表取締役社長 戸島 陽平 氏
あましん サクセスネットクラブ 会員
おはぎからあんこへ 原点回帰で可能性を開拓
「十勝おはぎのサザエ」から「十勝あんこのサザエ」へ。弱冠29歳で社長業を引き継いで約10年、サザエ食品の戸島陽平社長はあんこの持つ可能性を最大限に発揮させるべく奔走してきた。その象徴が、2015年に始動させた新ブランド「京都祇園あのん」だ。「新参者」に厳しい視線が注がれる地にあえて店を開き、粒あんとマスカルポーネチーズクリームで自分好みの最中をつくる「あんぽーね」をはじめ、看板商品だったおはぎの枠にとらわれない新機軸を打ち出した。京都が持つ発信力も追い風に評判は首都圏や海外にまで広がり、いまやあのんは10億円規模の売上を記録。高級ホテルからOEM生産の依頼が舞い込むなど、会社に大きな推進力を与えている。
ITコンサルタントとして社会人生活をスタートさせた戸島社長が重視するのは、当時の上司に教わった「やるか、やらないか」という価値判断だ。「できる、できないで物事をとらえると何も生まれない。まずやってみた先に成果が伴うと考えています」。おはぎから和洋折衷の新ジャンル、さらにはドッグフードに至るまで。あんこという軸はぶらさずに合計300ものアイテムを取り揃えるに至ったのも、あくなき挑戦者精神と現場への傾聴力に裏打ちされた結果といえるだろう。
辛酸をなめた仲間と 新たなストーリーを描く
あのんのヒットもあり、売上は10年前から倍増。順風満帆かに思われるサザエ食品だが、苦い経験も味わった。2017年、会社の心臓部である製あん室が漏電のために全焼したのだ。幸いけが人はなく、神戸に協力会社を得て生産を継続できたものの、戸島社長は「1人では何もできない」と悟ったという。翌年には宝塚にあった工場を西宮に移転。従業員の大半が退職することなくついてきてくれたことが、戸島社長の支えになったのは想像に難くない。
その後は組織のセグメント化を進め、小豆が持つ栄養素を損なわない製法が自慢の腸活スイーツの商品化にも成功。若くして父を亡くしているだけに、ウェルネス分野の開拓にも積極的だ。2代目ながら創業者の心持ちで果敢に事業展開する青年社長が掲げるのは「あんこで物語を創る」こと。従業員と手を携えてつむぐ物語は、無限の広がりを持っているに違いない。
企業情報
株式会社サザエ食品
1973年(昭和48)創業。十勝あんこのサザエ、京都祇園あのんといった多彩な業態で、あんこの持つ魅力を発信する。この夏にはJR大阪駅前の商業施設・KITTE大阪に旗艦店となるカフェの開業を予定している。
兵庫県西宮市上大市4-17-18
URL https://www.sazae-shokuhin.com/