HOME街の社長夢を語る真に価値のある商品で、食のありように変化を
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夢を語る

HEART INTERVIEW
AMAGASAKI クリエイティブサラダ 代表 石黒 裕介 氏

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真に価値の
ある商品で、
食のありように変化を

AMAGASAKI
クリエイティブサラダ

代表 石黒 裕介 氏

あましん グリーンプレミアム〈第12回 環境アイデア部門賞〉

下町に芽吹いた健康にも環境にも寄与する食文化

庶民の街・杭瀬で、1本1000円のジュースが評判を呼んでいる。こう聞くと意外に感じられるかもしれないが、まがうことなき事実である。園田橋線沿いの商店街に店を構えるamaサラダが手がけるのは、アメリカ生まれのコールドプレスジュース。ミキサーを用いず、果物や野菜を丸ごとゆっくり押しつぶす製法ゆえに酵素が破壊されず、栄養価に優れるのが特徴だ。水や砂糖も一切使わないので、素材本来の風味が楽しめる点もうれしい。

代表を務める石黒裕介さんは、約20年にわたる飲食店勤務を経て2014年に独立。チョップドサラダを看板商品に据えるも、大量の食品ロスに悩まされていた。そこで友人に相談したところ、話題に上がったのがコールドプレスジュースだった。当初は採算性から二の足を踏んだが、家庭用のジューサーで試してみると普段飲んでいるジュースとは別物だと実感。2015年に発売にこぎ着けた。
しかし、その船出は多難だった。「なんでジュースが1000円もするん?」という率直な声が飛び交い、かねてからの懸念が現実になったのだ。ところが、国内でもいち早い商品化が奏功し、百貨店のバイヤーやメディアに注目されたことで流れは一変。健康志向の高い人から支持を集め、催事や支店オープンを通して認知を広げた。

尼崎の地に根を下ろし、さらなる好循環の創出を

和歌山のオレンジ、丹波の小松菜、岡山の桃―amaサラダのコールドプレスジュースに用いられる果物や野菜は、石黒代表が生産者を訪ねて仕入れるものばかりだ。いずれにも共通するのが、わずかに規格を満たさなかったり、小傷がついていたりすること。本来なら市場に出回らず廃棄されるが、味や香りは遜色ない。一つひとつに込められた思いや苦労まで余さず伝えることが、揺らぐことのないミッションだ。

近隣の青果店には太鼓判を押され、商店街のイベントにも参加するなど地域への浸透も進み、「杭瀬から離れることはない」と心強い石黒代表。今後は卸売による経営体制の強化を進め、現店舗を地域に開かれたコミュニティスペースに衣替えしたいと夢を語る。そうした取り組みの先に見据えるのは、自らのルーツである尼崎も含む近郊農家との協業だ。下町生まれの新たな食文化が育むつながりに注目したい。

企業情報

AMAGASAKIクリエイティブサラダ

AMAGASAKI
クリエイティブサラダ

杭瀬本町商店街と大丸京都店でサラダとジュースの専門店・amaサラダを展開。コールドプレスジュースの製造にあたっては、りんごに換算して1ヵ月で90箱もの食品ロスを削減するなど、体にも環境にも優しい製品づくりにこだわる。

兵庫県尼崎市杭瀬本町2-16-17
URL https://amasalad.com/

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