2025年 大阪・関西万博あましん × 共創チャレンジ
AMASHIN × Co-creation Challenge
子どもたちと地域とをつなげる
学校法人七松学園
理事長・園長 亀山 秀郎 氏
広々とした園庭に設けられた築山を中心に、子どもたちの歓声が上がる。ここは高度経済成長期に誕生した七松幼稚園。70年以上、数多くの園児と向き合ってきた「大御所」ながら、この10年足らずで目を見張る変革を遂げている。0歳児の受け入れや長時間保育も可能な幼保連携型の認定こども園に移行し、周辺に増加する共働き世帯のニーズに応えたのは言わずもがな、注目すべきはその中身だ。設立時から注力してきた地域活動をより充実させ、子どもらは園の内外でさまざまな刺激を受けるようになった。
理事長と園長を兼務する亀山秀郎氏は、学校教育学を専門に大学の非常勤教師や県の自然学校の研究員を務めた研究者としての顔も持つ。とはいえ、幼少期にはクジラの調査に興味を持ち、環境保護活動家のC. W. ニコル氏に影響を受けたほど、自然との対話を好む人物でもある。驚くべきは浪人生時代にニコル氏のもとを直接訪ねた行動力。当時は海洋資源を学びたかったが「日本の豊かな自然を伝えるなら教育者という道もある」と説かれ、祖父が築いた学園を継ごうと決意したのだ。
亀山氏のもと園児はスーパーや銭湯に足を運び、地域の「コンテンツ」を理解する。その背後で職員は訪問先への「営業活動」を通して種をまき、体験活動の安全性を担保する。さらに備品はなるべく近隣の商店から仕入れる。これらの取り組みは、いずれも「つながり」という言葉に集約されよう。地域のなかで幼い好奇心をくすぐり、豊かな将来につなげる営み。その行く先に注目したい。
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ICT(情報通信技術)も活用して地域を理解
みんなで魚釣りに出かけ、釣れた魚が何かをタブレット端末で調べて、どのように調理されて食卓に並ぶかを知る。このように実体験にICTを結びつけた先駆的な教育が評価され、2022年には日本ユネスコ国内委員会からユネスコスクール・キャンディデートに認定されています。
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保護者の共感を呼ぶ情報発信
教育内容の可視化にも積極的で、園での様子はインスタグラムなどを通して発信。プライバシーに配慮しつつ、芋掘りに奮闘する園児の姿をタイムラプスで投稿するなど、子どもの努力を目に見える形で伝えることで、保護者に共感や待つ姿勢の大切さを理解してもらおうと努めています。